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原爆堂展から書籍『白井晟一の原爆堂 四つの対話』へ

       原爆堂展から書籍『白井晟一の原爆堂 四つの対話』へ

 

 白井晟一の原爆堂展の主催者による正式名称は「INVITATION  to  TEMPLE ATOMIC  CATASTROPHES」です。押しつけがましい概念や理屈で飾り立てすることなく、「原爆堂計画」というものの存在を少しでも多くの人に紹介するのが展覧会の基本コンセプトでした。そしてこの展覧会で紹介された「原爆堂計画」の核心に向かう資料と議論を提出するものとして書籍『白井晟一の原爆堂 四つの対話』が企画され間もなく出版(晶文社)されます。むしろ展覧会よりも先に企画されたこの書籍の基本的なコンセプトは、3・11の試練によって背負うことになった自覚的な問題意識を踏まえた上での、建築の領域的な利害や観念に拘束されない言葉を、原爆堂をてがかりとして提出することでした。

 展覧会の開催と同時に予定した書籍の発行が遅れることになってしまいましたが、そのコンセプトは変わりません。書籍ではまず原爆堂計画を白井のエセーを通して解説する拙文からはじめて、岡崎乾二郎、五十嵐太郎、鈴木了二、加藤典洋各氏の順で原爆堂と白井という問題に深く斬りこむ言葉が展開されています。フェーズを異にした四人の話者の言葉は自身の抱えてきた問題とのかかわりに及ぶものもあれば、3・11以後の世界の中で原爆堂の意味が追及されているものもあります。

 展覧会というものは、普段は誰かに所有されていたり、金庫の奥に保管されたりしているものでも、観るものが共有できる公開性に意味と本質があります。しかし一方では一過性のお祭り的な性格を持ちます。そのような展覧会というものを補いかつそこで提出された問題を継続して引き受けることがこの書籍には期待されています。

 また、余談ですが、原爆堂のCG動画は展覧会での上映を目的に制作したものですが、これは原爆堂計画の最終的な姿を示しているというわけではありません。遺された設計図は基本的なものにとどまっており、CG動画は設計者白井晟一の意想とわれわれがかかえている現実の課題を、これからも追求し実施設計を進めていくうえでの力強いツールなのです。

                                                    白井磨

17:56 | 白井磨パーソナルブログ 「柊心居にて」 | comments(1) | trackbacks(0)
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17:56 | - | - | -
Comment
展覧会拝見しました。
CGの出来はすこぶる説得力があるように思われました。
内部に佐世保の懐しょう館を彷彿とさせるイメージを想い起こさせました。
Posted by: 伊豆井秀一 |at: 2018/07/06 6:17 PM








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